統括防火・防災管理制度について

更新日:2023年03月01日

統括防火・防災管理制度について

(イラスト)統括防火・防災管理制度について

近年、雑居ビル等で多くの死傷者等を伴う火災が相次いで発生していることや、東日本大震災での激しい揺れにより、高層ビル等において人的・物的被害が発生したことから、管理権原の分かれている建物の防火・防災管理体制を強化するため、平成24年消防法令の一部が改正され、平成26年4月1日から施行されています。

この改正により、管理権原が分かれている建物の各管理権原者に対して、統括防火・防災管理者を協議して選任することが法的に義務付けられるとともに、統括防火・防災管理者には各事業所の防火・防災管理者に対し、防火・防災管理に関する一定の指示を行うことができるようになるなど、建物全体の防火・防災管理における役割分担の明確化が図られることとなりました。

統括防火管理者について

統括防火管理者の選任が必要な建物

(イラスト)統括防火・防災管理制度について

統括防火管理者が必要な建物は、管理について権原が分かれている建物のうち、収容人員(従業員、利用者等の人数)や用途、階数により、下表のとおり定められています。(消防法施行令第3条の3)

これに該当する建物の各管理権原者は、一定の資格を有する者から統括防火管理者を協議して選任し、消防本部に届出なければなりません。

なお、収容人員は建物全体で算定します。

統括防火管理者の選任が必要な建物(管理権原が分かれているもので、以下に該当するもの)
主な用途

高層建築物

地下街

自力避難困難者が入所している施設が入っている建物

不特定多数の者を
収容する建物
<特定用途>

用途が混在
している建物
<非特定用途>
用途
  • 高層建築物(高さ31メートルを超えるもの)
  • 地下街(16項の2)のうち、消防長又は消防署長が指定するもの
  • 準地下街(16項の3)
認知症高齢者グループホーム等、災害時に自力避難の困難な者が入所する社会福祉施設が入っている建物 6項ロ及び16項イ(6項ロの用途が存するものに限る) 映画館、飲食店、物品販売店、ホテル、病院など、主として不特定多数の者を収容する建物 (1項、2項、3項、4項、5項イ、6項イ、6項ハ、6項ニ、9項イ、16項イ) 共同住宅、会社事務所などの用途が混在している建物 (16項ロ)
収容人員 収容人員に関係なく必要 10人以上 30人以上 50人以上
階数 50人以上 地上3階以上 地上3階以上 地上5階以上

表中の(数字)項とは、消防法施行令別表第一に示す用途区分を示しています。

統括防火管理者の資格

統括防火管理者は、防火管理講習の修了者などで、建物全体の防火管理業務に必要な権限及び知識を有するものとして、建物全体の防火管理上必要な権限を与えられていることなどを満たす必要があります。(消防法施行令第4条)

統括防火管理者の資格区分
自力避難困難者が入所している施設が入っている建物 不特定多数の者を収容する建物
<特定用途>
用途が混在している建物
<非特定用途>
【甲種防火管理者】 建物全体の延べ面積が300平方メートル以上
【甲種防火管理者】
建物全体の延べ面積が500平方メートル以上
【甲種防火管理者】
【甲種防火管理者】 300平方メートル未満
【甲種又は乙種防火管理者】
500平方メートル未満
【甲種又は乙種防火管理者】

防火管理者としての資格要件

防火管理者の資格(防火管理者に選任されるための要件)は、次のとおりです。

  1. 防火管理業務を適切に遂行することができる「管理的、監督的地位」にあること
  2. 防火管理上必要な「知識・技能」を有していること(防火管理講習修了者、注釈1学識経験者等)

上記2の「知識・技能」とは、学識経験者等を除き、一般的には「防火管理講習」の課程を修了することにより得られます。

この「講習修了資格」は、講習種別によって「甲種」と「乙種」とに区分されますが、乙種防火管理講習修了者を防火管理者に選任することができる防火対象物は、比較的小規模なものに限られています。

注釈1 学識経験者等

次の方は、上記2の防火管理上必要な「知識・技能」を有すると認められています。(受講は不要です) 学識経験者等の資格証明等については、消防本部にお問い合わせください。

  1. 市町村の消防職員で、管理的または監督的な職(消防士長以上の階級)に一年以上あった者
  2. 労働安全衛生法第11条第1項に規定する安全管理者として選任された者
  3. 防火対象物点検資格者講習の課程を修了し、免状の交付を受けている者
  4. 危険物保安監督者として選任された者で、甲種危険物取扱者免状の交付を受けている者
  5. 鉱山保安法第22条第3項の規定により保安管理者または保安統括者として選任された者
  6. 国もしくは都道府県の消防の事務に従事する職員で、1年以上管理的または監督的な職にあった者
  7. 警察官またはこれに準ずる警察職員で、3年以上管理的または監督的な職にあった者
  8. 建築主事または一級建築士の資格を有する者で、1年以上防火管理の実務経験を有する者
  9. 市町村の消防団員で、3年以上管理的または監督的な職(班長以上)にあった者

統括防火管理者の資格を有する者であるための要件

建物全体についての防火管理上必要な業務を適切に行うために、必要な権限及び知識を有する者として、次の要件を満たしている必要があります。(消防法施行規則第3条の3)

  • 各管理権原者から、防火管理上必要な権限が付与されていること。
  • 各管理権原者から、防火管理上必要な業務の内容について説明を受けており、かつ、当該内容について十分な知識を有していること。
  • 各管理権原者から、建物の位置、構造及び設備の状況等について説明を受けており、かつ、当該事項について十分な知識を有していること。

統括防火管理者の責務

(イラスト)統括防火・防災管理制度について

統括防火管理者は、建物全体の防火管理体制を推進する必要があるため、各テナント等の防火管理者と協議・協力しながら防火管理上必要な業務を行います。

1.建物全体についての防火管理に係る消防計画作成

建物全体についての防火管理に係る消防計画を作成し、所轄の消防署長に届け出ます。

全体についての消防計画と各テナント等の消防計画については、整合を図る必要があります。(消防法施行令第4条の2)

建物全体についての防火管理に係る消防計画に定める主な事項

建物における各管理権原者の権原の範囲に関すること

  • 建物全体についての消火、通報及び避難の訓練等の定期的な実施に関すること
  • 廊下、階段、避難口等の避難上必要な施設等の維持管理に関すること
  • 火災、地震等が発生した場合における消火活動、通報連絡及び避難誘導に関すること
  • 火災の際の消防隊に対する建物の構造等の情報提供及び消防隊の誘導に関すること 
(イラスト)統括防火・防災管理制度について

2.消火訓練等の実施

建物全体についての消防計画に基づき、消火、通報、避難の訓練を定期的に実施します。 訓練に参加しないテナント等に対しては、参加を促します。

3.避難施設の管理

廊下や階段などの共用部分の避難上必要な施設の管理

建物全体についての防火管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて、管理権原者の指示を求め、誠実にその職務を行わなければなりません。

届出に際し、必要な書類について

統括防火管理者を選任しなければならない建物については【統括防火・防災管理者選任届出書】と【全体についての消防計画作成届出書】を消防本部へ届出する必要があります。

届出に必要な書類(添付書類を含む)は、正副(2部)ご用意ください。

項目

項目防火管理者を選任または解任したとき

必要書類

必要書類
  • 防火管理者修了証の写し又は、必要な学識経験を有する証明書の写し

項目

消防計画を作成または変更したとき

防火管理者が変更となった場合、消防計画の内容変更の有無に関わらず、届出が必要です。

必要書類

  • 防火に関わる消防計画の全文
  • 変更の場合は、変更箇所の消防計画

統括防災管理者について

統括防災管理者の選任が必要な建物

(イラスト)統括防災管理者の選任

統括防災管理者が必要な建物は、管理について権原が分かれている防災管理対象物(下表に記載)です。これに該当する建物の各管理権原者は、一定の資格を有する者から統括防災管理者を協議して選任し、消防本部に届出なければなりません。(消防法施行令第46条)

防災管理対象物(防災管理者の選任が必要な防火対象物)
対象用途等 地階を除く階数 延べ面積
共同住宅、格納庫、倉庫等を除く、すべての用途の建築物等 11(階)以上 10,000平方メートル以上
共同住宅、格納庫、倉庫等を除く、すべての用途の建築物等 5(階)以上
10(階)以下
20,000平方メートル以上
共同住宅、格納庫、倉庫等を除く、すべての用途の建築物等 4(階)以下 50,000平方メートル以上
地下街   1,000平方メートル以上

複合用途の建物で、共同住宅、格納庫、倉庫等の部分がある場合は、建物全体の延べ面積からその部分の面積を除きます。

統括防災管理者の資格

統括防災管理者は、防災管理上必要な業務を適切に遂行するために必要な権限及び知識を有する者で、甲種防火管理講習修了者で防災管理新規講習を修了した者または一定の学識経験等を有する者の中から、各管理権原者は統括防災管理者を協議して選任します。(消防法施行令第48条の2)

防災管理者としての資格要件

防災管理業務を適切に遂行することができる「管理的、監督的地位」にあること

防災管理上必要な「知識・技能」を有していること(防災管理講習修了者、注釈1 学識経験者等)

甲種防火管理者としての資格を有していること(甲種防火管理講習修了者、学識経験者等)

注釈1 学識経験者等

次の方は、上記2の防災管理上必要な「知識・技能」を有すると認められています。

  1. 市町村の消防職員で、管理的または監督的な職(消防士長)に1年以上あった者
  2. 労働安全衛生法第11条第1項に規定する安全管理者として選任された者
  3. 防災管理点検資格者講習の課程を修了し、免状の交付を受けている者
  4. 危険物保安監督者として選任された者で、甲種危険物取扱者免状の交付を受けている者
  5. 鉱山保安法第22条第3項の規定により保安管理者または保安統括者として選任された者
  6. 国もしくは都道府県の消防の事務に従事する職員で、1年以上管理的または監督的な職にあった者
  7. 警察官またはこれに準ずる警察職員で、3年以上管理的または監督的な職にあった者
  8. 建築主事または一級建築士の資格を有する者で、1年以上の防火管理の実務経験および1年以上の防災管理の実務経験を有する者
  9. 市町村の消防団員で、3年以上管理的または監督的な職(班長以上)にあった者

統括防災管理者の資格を有する者であるための要件

建物全体についての防災管理上必要な業務を適切に行うために、必要な権限及び知識を有する者として、次の要件を満たしている必要があります。(消防法施行規則第51条の11)

  • 各管理権原者から、防災管理上必要な権限が付与されていること。
  • 各管理権原者から、防災管理上必要な業務の内容について説明を受けており、かつ、当該内容について十分な知識を有していること。
  • 各管理権原者から、建物の位置、構造及び設備の状況等について説明を受けており、かつ、当該事項について十分な知識を有していること。

統括防災管理者の責務

統括防災管理者は、建物全体についての防災管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて、管理権原者の指示を求め、誠実にその職務を行わなければなりません。(消防法施行令第48条の3)

(イラスト)統括防災管理者防災管理にかかわる全体についての消防計画作成

1.建物全体についての防災管理に係る消防計画の作成

建物全体についての防災管理に係る消防計画を作成し、所轄の消防署長に届け出ます。

全体についての防災管理に係る消防計画と各テナント等の消防計画については、整合を図る必要があります。

建物全体についての防災管理に係る消防計画に定める 主な事項【消防法施行規則第51条の11の2】

建物における各管理権原者の権原の範囲

  • 建物全体についての避難の訓練等の定期的な実施に関すること
  • 廊下、階段、避難口等の避難上必要な施設等の維持管理に関すること
  • 地震等が発生した場合における通報連絡および避難誘導に関すること
  • 地震等が発生した際の消防隊に対する建物の構造等の情報提供及び消防隊の誘導に関すること
(イラスト)全体についての訓練参加の指示

2 避難訓練の実施

建物全体についての防災に係る消防計画に基づき、避難訓練を定期的に実施します。

訓練に参加しないテナント等に対しては、参加を促します。

(イラスト)共用部の避難施設の維持管理

3 避難施設の管理

廊下や階段等の共用部分の避難上必要な施設等の維持管理を行います。

廊下等の共用部分に避難の支障となる物件、転倒・落下の危険性がある物件を置いているテナントに対しては、その物件を撤去するよう指示します。

届出に際し、必要な書類について

統括防災管理者を選任しなければならない建物については【統括防火・防災管理者選任届出書】と【全体についての消防計画作成届出書】を消防本部へ届出する必要があります。

届出に必要な書類(添付書類を含む)は、正副(2部)ご用意ください。

項目

統括防災管理者を選任、解任したとき

必要書類

  • 防災管理者修了証の写し又は、必要な学識経験を有する証明書の写し

項目

全体についての防災管理に係る消防計画を作成、変更したとき

必要書類

  • 全体についての防災管理に係る消防計画の全文
  • 変更の場合は、変更箇所の消防計画

この記事に関するお問い合わせ先

消防課 予防班
〒243-0301
神奈川県愛甲郡愛川町角田286-1
電話番号:046-285-3131
ファクス:046-285-4091
メールフォームでのお問い合せ