調査報告書が完成!「糸の町半原」で大学生が「民俗調査実習」を行いました!
川村学園女子大学・帝京大学の学生20名が半原地域の風習等を調査
令和5年8月7日(月曜日)から10日(木曜日)にかけ、川村学園女子大学文学部日本文化学科(千葉県我孫子市)、帝京大学文学部日本文化学科(東京都八王子市)で民俗学を学ぶ学生20人が、かつて撚糸(ねんし)業の発展により「糸の町」として栄えた愛川町半原地域で、民俗学の調査手法を学ぶ「民俗調査実習」を行いました。
糸のまち半原の歴史(レインボープラザ) (PDFファイル: 1.2MB)
完成した調査報告書が贈られました
学生たちは半原地域での調査実習をまとめ、『神奈川県愛甲郡愛川町 半原の民俗』〔川村学園女子大学・帝京大学 民俗調査報告書第1集〕を2024年1月に発行し、愛川町や調査協力者に贈られました。
報告書は、「社会生活」、「生産・生業」、「年中行事」、「人生儀礼」、「民間信仰」、「口承文芸・遊び」に章立てがされ、見出しごとに調査実習で聞き取った内容がまとめられ、半原地域のすでに途絶えている生活様式や、特徴的な地域文化の掘り起こしも行われています。
聞き取り調査の概要
今回の調査実習のメインは、半原地域の話者へ行った、インタビュー形式で聞き取り調査です。聞き取り調査は、8月8日(火曜日)・9日(水曜日)の午前・午後に分かれ、半原小学校多目的教室で行われました。
※8月7日(月曜日)は半原地域の巡検(郷土資料館の見学や現地を歩いて視察)、8月10日(木曜日)は調査の小括を行いました。
調査では、1テーブル2~3人程度の小グループに分かれ、半原地域に住む68歳~92歳の男女34人に対し、「生産と生業」(農業や撚糸業など)、「社会生活」(ムラの領域や内部区分、青年組織や女性組織など)、「年中行事」(お正月やお盆など)、「人生儀礼」(出産、育児、婚姻、葬式など)、「口承文芸」(昔話、伝説など)、「民間信仰」(神社や講など)などについて、話者が半原地域で経験してきたことを中心に、1回2時間程度の聞き取りを行い、地域の風習等を調査しました
写真で振り返る聞き取り調査
ほとんどの学生にとっては今回が初めての聞き取り調査であったようで、緊張も見受けられましたが、学生の熱心な質問に対し、話者の方も当時の記憶をたどりながら、今では廃れてしまった風習などについても触れ、話が発展していくなど、会場は終始にぎやかな雰囲気でした。
愛川町文化財保護委員が調査に協力
今回の「民俗調査実習」には、愛川町文化財保護委員(7名)のうち、半原地域在住の委員(八木一郎氏、小島睦夫氏)が、話者の紹介等で協力を行いました。
聞き取り調査を受けた話者の感想
調査を終えた話者に感想を聞いたところ、
「半原のことを知ろうとする学生の熱意が伝わり、楽しかった。」
「話しているうちに、昔のことを思い出し懐かしくなった。地域で大切にしてきた様々なことを振り返る良い機会となった。」などといった感想がありました。
聞き取り調査をした学生の感想
聞き取り調査を終えた学生から感想を聞くと、
「事前に資料で調べ、授業で習っていたことでも、実際に話を聞いてみると具体的な様子が分かり、生の声を聞くことの大切さを知った。」
「講や神社のことを伺った。最初は分からないことが多かったが、回数を重ねるごとに話が結びつき、知識もついた。現代では馴染みのないものと思った風習も、調査をして、もっと身近な場所にもあるのではないかと感じた。」
「撚糸業のことを伺った。事前の資料だけでは分からなかったことを実際に携わっていた方から話を聞いたり、愛川繊維会館(レインボープラザ)で八丁式撚糸機を見学したりする中で、当時の状況をよく知ることができた」などといった感想がありました。
文化財保護委員の話
「話者が、若い世代の学生と楽しそうに話していたのが印象的だった。中には予定していない回にも足を運んだ話者もおり、地域のことを若者に伝えたいという思いが感じられた。今回の調査実習が、半原の歴史を振り返る良い機会となると嬉しい。」(小島委員)
聞き取り調査を終えた学生たちは、8月10日(木曜日)に小括を行い、「民俗調査実習」の日程を終えました。
2024年1月、調査をまとめた「調査報告書」が愛川町に贈られました。
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更新日:2024年03月01日