○愛川町犯罪被害者等支援条例
令和7年9月29日
条例第13号
(目的)
第1条 この条例は、犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号)の趣旨にのっとり、犯罪被害者等の支援について基本理念を定め、町、町民等及び事業者の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等の支援の基本となる事項を定めることにより、当該支援のための施策を総合的に推進し、犯罪被害者等の権利利益の保護並びに被害の軽減及び回復を図り、もって安心して暮らすことができる地域社会を実現することを目的とする。
(1) 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
(2) 犯罪被害者等 犯罪等により害を被った者で町内に住所を有するもの及びその家族又は遺族その他これらの者に準ずると町長が認めるものをいう。
(3) 町民等 町内に住所を有する者、町内に居住する者、町内に勤務する者、町内に在学する者又は町内において活動を行う者をいう。
(4) 事業者 町内において事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。
(5) 民間支援団体 犯罪被害者等の支援を行う民間の団体をいう。
(6) 関係機関等 国、他の地方公共団体、警察、民間支援団体その他の犯罪被害者等の支援に関係するものをいう。
(7) 二次被害 犯罪等による直接的な害を被った後に、犯罪被害者等の置かれている状況についての無理解による言動、配慮に欠ける対応、誹謗中傷等によって犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、心身の不調、プライバシーの侵害その他の被害をいう。
(8) 再被害 犯罪被害者等が当該犯罪等の加害者から再び受ける被害をいう。
(基本理念)
第3条 犯罪被害者等の支援は、犯罪被害者等の個人としての尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利が尊重されるよう、配慮して行われるものとする。
2 犯罪被害者等の支援は、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて、町、関係機関等、町民及び事業者が相互に連携し、並びに協力して推進するとともに、犯罪被害者等が再び安心して暮らすことができるよう、途切れることなく行われるものとする。
3 犯罪被害者等の支援は、犯罪被害者等の名誉又は日常生活を害することのないよう、二次被害及び再被害の防止について配慮して行われなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、関係機関等との役割分担を踏まえて、犯罪被害者等の支援のための施策を策定し、及び実施するものとする。
(町民等の責務)
第5条 町民等は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等の支援の必要性について理解を深め、二次被害が生じることのないよう十分配慮するものとする。
2 町民等は、犯罪被害者等を地域社会で孤立させないように努めるとともに、町がこの条例に基づき実施する犯罪被害者等の支援のための施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等の支援の必要性について理解を深め、その事業活動を行うに当たっては、二次被害が生じることのないよう十分配慮するとともに、町及び関係機関等が実施する犯罪被害者等のための施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、犯罪被害者等が安心して暮らすために必要な各種の手続等に適切に関与することができるよう、犯罪被害者等の就労及び勤務について十分に配慮するよう努めるものとする。
(相談及び情報の提供等)
第7条 町は、犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるよう、犯罪被害者等が直面している様々な問題について相談に応じ、必要な情報の提供及び助言並びに関係機関等との連絡調整を行うものとする。
2 町は、犯罪被害者等の支援を総合的に行うための窓口を設置するものとする。
(日常生活等の支援)
第8条 町は、犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるよう、次に掲げる支援を行うものとする。
(1) 犯罪等の被害による経済的負担の軽減を図るため、犯罪被害者等に対し、見舞金の支給その他必要な支援を行うこと。
(2) 犯罪等の被害により法律上の問題に直面している犯罪被害者等に対し、法律相談の実施その他必要な支援を行うこと。
(3) 犯罪等の被害により日常生活を営むことについて支障がある犯罪被害者等に対し、家事、子育て等に要する費用の助成その他必要な支援を行うこと。
(4) 犯罪等により精神的な被害を受けた犯罪被害者等に対し、心理相談の実施その他必要な支援を行うこと。
(5) 犯罪等の被害により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等に対し、転居に要する費用の助成その他必要な支援を行うこと。
(6) 犯罪被害者等の雇用の安定を図るため、関係機関等と連携し、犯罪被害者等が置かれている状況について事業者の理解を促進するための措置その他必要な支援を行うこと。
(町内に住所を有しない犯罪等による被害者等への支援)
第9条 町は、町内に住所を有しない者が町内で発生した犯罪等により害を被ったときは、その者が住所を有する地方公共団体と連携し、及び協力して、第7条第1項に規定する支援を行うものとする。
(人材の育成等)
第10条 町は、犯罪被害者等の支援の充実を図るため、犯罪被害者等の支援を行う人材を育成するための研修の実施その他必要な施策を講ずるものとする。
(民間支援団体への支援)
第11条 町は、犯罪被害者等の支援において民間支援団体が果たす役割の重要性に鑑み、当該活動の促進を図るために必要な情報の提供その他必要な支援を行うものとする。
(町民等への啓発活動等)
第12条 町は、犯罪被害者等が地域社会で孤立しないようにするため、犯罪被害者等が置かれている状況並びに二次被害及び再被害の防止の重要性について、町民等及び事業者の理解を深めるよう、啓発活動その他必要な施策を講ずるものとする。
(支援を行わないことができる場合)
第13条 町は、犯罪被害者等が犯罪等を誘発した場合その他の犯罪被害者等の支援を行うことが社会通念上適切でないと認められる場合は、犯罪被害者等の支援を行わないことができる。
(意見等の反映)
第14条 町は、犯罪被害者等の支援を適切に行うため、犯罪被害者等及び関係機関等から意見、要望等を把握し、施策に反映させるよう努めるものとする。
(委任)
第15条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この条例は、令和7年10月1日から施行する。